日本臨床発達心理士会 東京・山梨支部
研修報告【レポート】

2014年度 第1回 資格更新・各ネットワーク研修会 (2014.06.22)の報告

開催日 2014年 6月22日
会場 日本大学文理学部 百周年記念館 国際会議場

資格更新研修会

開催時間 9:30 ~ 12:30
参加人数 177名

廣瀬先生から前半は障害者権利条約批准までの法律の変遷や法律上の解釈をわかりやすく解説いただき、文科省のモデル事業の具体例を挙げて今後のインクルーシブ教育システムの展開についての示唆を得た。

後半は権利条約における教育の条項の中の合理的配慮は授業とのコラボレーションが不可欠であることを教材教具の工夫等の実践例を交えて講義いただいた。

アンケートでは、今後の支援に求められる要素をタイムリーに提供いただき、学ぶところの多い研修だったとの意見が多くみられた。

発達臨床研究ネットワーク研修会

開催時間 14:00 ~ 15:30
参加人数 27名

石氏からは、保育園児の母親を対象とした質問紙による研究結果として、①母親の健康度はソーシャル・サポートよりも母親個人が相互協調性・相互独立性いずれかの特性をもつかが関連する②相互協調性が優位の母親は、育児不安が高く臨床群に陥りやすいという話しがあり、育児不安を持つ母親には、認知行動療法による介入が効果的ではないかという提案を頂いた。

氏の講演を受けて、グループで話し合いが行われた。育児のキーパーソンである母親に対する臨床実践について熱く議論が行われる一方、研究に対する批判的検討も行われた。当日の参加者は22名であった。アンケートでは、全体には好評であった。

子育て・発達支援ネットワーク研修会

開催時間 14:00 ~ 15:30
参加人数 44名

齋藤氏より、世田谷区の「発達支援親子グループ事業」について話題提供いただいた。子育て支援として実施されているため、障害受容が難しく、療育等の支援につながりにくい保護者が参加しやすい活動であること、グループ(全6回)の取り組みにより、保護者が、子どもと一緒に楽しく参加しながら、安心して我が子の特性とそれに合った接し方に「気づく」場となっていること、グループ参加後、保護者が支援を受ける有効性を感じ、療育等の支援につながるケースがあること、保護者自身の自己肯定感の高まり、保護者同士のつながりができること、などをグループ後のアンケート結果や感想を踏まえてお話いただいた。その後、質疑応答で、グループの活動時の配慮事項や園などとの連携、受け入れるお子さんの基準、児童発達支援事業の受給者証などについて質問や意見交換を行った。

情報交換会では、子育て・発達支援ネットワークを中心にして作成している子育て・発達支援の概略や記入方法などについて情報提供し、質問や意見を頂くと共に、会員間で情報共有や連携につなげられるようマップへの記入をお願いした。

特別支援教育ネットワーク研修会

開催時間 14:00 ~ 15:30
参加人数 60名

当日は、同じ時間帯に3つのNW研修会を設定されたが、参加者数では特別支援教育NW研修会が最も多かった。 午前中の資格更新研修会での内容を受けて、就学支援や特別支援教育に関する東京都の最新情報を提供したためと考えられる。


伏見氏の話題提供後には、以下のような質問等が出された。
  • 適正就学という観点から、就学相談は限定された時期だけにとどまらず早期からの相談や就学後の継続相談も大事。就学支援委員会という名称を教育支援委員会へと変更した区もある。しかし、まだまだ温度差のあるのが実態。都が市区町村教育委員会への働きかけをしていって欲しい。
  • 中学校教育における特別支援教室構想は、今後どのように進んでいくのか知りたい。
  • 知的障害特別支援学校における「教育支援員」導入については、学校の中でどう組織的に取り組んでいるのかを知りたい。