日本臨床発達心理士会 東京・山梨支部
研修報告【レポート】

2017年度 第1回 資格更新研修会・ネットワーク研修会 (2017.05.21)の報告

開催日 2017年 5月21日
会場 AP浜松町

資格更新研修会

開催時間 10:00 ~ 11:30
参加人数 249名

「臨床発達心理士に求められる発達アセスメント」(本郷一夫先生)

始めに臨床発達心理学の特徴は、発達心理学に基盤を置きながらも人や現実に向き合い発達の時間軸や抱える問題の多要因性の視点を持ち、人の理解と支援を目指す学問であることが話されました。発達アセスメントは人の理解と支援のために行われるもので、多要因を取り入れた包括的アセスメントを目指す中で、発達の過去(経過)・現在(状態)・未来(希望)の経過を多様な発達の変化パターン(退行パターンもある)から捉えが話されました。

検査結果の理解の仕方について、先生のこれまでの相談業務で行ってきた検査結果の再整理(保育者間の評価のズレ、保護者と保育者の評価のズレ)の中から得られた知見が報告されました。評価のズレが何を示しているかを検討することも検査の活用範囲を広げる可能性のあるお話しでした。最後に、検査結果を保護者や保育者と共有する際には、日常生活のどのような活動と関係するかの説明を行なったり生活の見直しを行なったりすることを通して、こどもの理解が深まることが大切であるとの話がありました。

ネットワーク研修会(分科会)

開催時間 13:00 ~ 16:00
1)発達臨床研究NW(参加人数:50名)
「Vineland Ⅱ 適応行動尺度」(黒田美保先生)

今回の研修会は、適応行動の代表的なアセスメントツールとして国際的に広く利用されているVineland適応行動尺度第二版(Vineland-Ⅱ)の日本版を、作成者のお一人 である黒田美保先生にご紹介して頂きました。

今回ご紹介頂いた検査は、障害児者の方の適応行動を評価し今どこまで何ができているかを把握できる尺度です。本検査は、実際の臨床現場での介入計画や個別の支援計画の策定に大変有効であり、さらに今後、障害認定や障害手当等の申請に適応行動の水準が求められることが予想されることから、支援において重要な尺度の1つとなるとのお話でした。

今回は、検査の実施方法と結果の算出方法について学びました。多くの参加者の方から満足であったという感想を頂きましたが、事例を通した検査の解釈と支援についてもっとお聞きしたかったというご意見もありました。

2)子育て・発達支援NW(参加人数:137名)
「新版K式を用いた子ども理解と発達支援 基礎編」(大谷多加志先生)

京都国際社会福祉センターの大谷多加志先生に新版K式についてお話頂きました。ご講演は、VTRやワーク等を交えて大変わかり易く、お子さんへの発達支援について、あらためて考えるよい機会となりました。

アンケートでも、行動観察から発達を見立てることの 大切さが学習できた、発達を連続体としてとらえる視点を再認識できた、発達のとらえ方で「行きつ戻りつ」の考え方がとても重要だと感じた、K式から見立てる・それを助言に導くことを改めて 認識できた等、たくさんのご感想をいただきました。

3)特別支援教育NW(参加人数:58名)
「学校現場で必要なアセスメント -WISC-ⅣとKABC-Ⅱの基礎知識-」(星井純子先生)

学校現場で必要なWISC-Ⅳ、KABC-Ⅱの基本的な内容について、昨年度末まで学校現場におられた星井純子先生から学びました。

研修会開始前に「心理検査に関係する用語などついてのアンケート」を参加者に回答してもらい、参加者のニーズに合った研修内容になるよう、配慮していただきました。前半は、心理検査の倫理について、WISC-Ⅳ、KABC-Ⅱの概要を丁寧に解説いただきました。後半は、ミニワークとして6,7人のグループに分かれ、具体的な事例をもとに学校現場における支援内容、支援策を考え、最後に星井先生から講評していただきました。

参加者からは「基礎から教えてもらい、知識の整理ができた」「WISC-Ⅳの研修会は、今までも受けてきたが、内容の説明がとてもわかりやすかった」「KABC-Ⅱを直接扱ったことがないので、勉強になった」「ミニワークは様々なアイデアが出て、よかった」と好評でしたが「基本的な解釈や読み取りの仕方を教えてほしかった」という意見もありました。