日本臨床発達心理士会 東京・山梨支部
研修報告【レポート】

2016年度 第2回 資格更新研修会(2016年10月23日)の報告

日程 2016年 10月23日(日)  9:30~12:30
会場 大妻女子大学千代田キャンパス  本館E棟B1  055教室
参加人数 189名
テーマ こどもの支援に活きる発達心理学  ~ピアジェとヴィゴツキーから学ぶ認知発達支援の条件~
講師
  • 田島信元 先生(白百合女子大学 教授)

21世紀の社会で求められる能力として、異文化交流能力(異なった個性、専門性を持った個人間の協働的活動)が強く求められる。この能力は生得的で、自己学習能力や自己コントロール(主張・抑制)能力がある。学校教育においてもジェネリックスキル(汎用的な能力・態度・志向)を身に付けること、そこには問題解決能力や他者と協働する力が望まれている。人間の学習能力は、感覚遮断児の未学習の状態が学習意欲を持った時点で急速に進んだ様に、大きな潜在的・生得的学習能力を持つ。又その意欲の芽生えは、一人の保育士との信頼関係であった。ピアジェ理論によれば、生得的学習能力は、同化と調節を繰り返す均衡化と言う積極的情報処理過程であり、生得的な社会的相互交渉能力と共に発揮される。対人関係の内面化としての学習・思考を唱えたのがヴィゴツキー理論である。共同行為を通した社会文化的学習・発達、「育てる力」としての「きっかけ刺激」や「発展的応答」、「最近接発達領域」、S字学習曲線の考えがある。これらは、生涯発達に繋がり、又健常児者ばかりでなくあらゆる障害児においても通底する。発達支援において3モデル(治療モデル、補償モデル、最恵モデル)を選択的に使用することが必要であるという内容でお話をいただいた。

アンケートでは、「基礎基本の理論を踏まえながら、実践に役立つ内容の濃い講義だった」「自身の支援の理論的な裏付けとなった」等の意見が多数あり、おおむね好評であった。